元親友。

昨日、以前は親友だった人を久しぶりに見かけた。
でも、一瞬目が合った彼女は私のほうを完全に見ない振りで
前を向いたまま足早に行ってしまったけれど。


彼女とは高3のときに同じクラスになり、
お互いいつも一緒にいる友達は別にいたのだけれど
なぜかウマが合い、卒業してからもずっと付き合い続けてた。


免許を取って初めてのドライブも彼女と行った。
初めての海外旅行も彼女と行き、以来年末年始は彼女と海外で過ごすのが恒例になった。
彼氏がいても、お互いの誕生日は毎年二人でお祝いした。
悩みの相談役はいつもお互いだったし、
言いたいこと言い合う分、たまに喧嘩はあったけど、
恋人と違って、親友は一生のものだと思ってた。



それなのに、今は一切会っていない。連絡もない。



きっかけは、彼女の病気だった。



彼女から入院したと連絡があったとき、病名を帯状疱疹だと聞いた。
すぐお見舞いに行くつもりだったが、
顔に痛みがあり辛いので、痛みがとれるまで待ってほしいと言われた。


その後しばらく連絡がなかったので、彼女のお母さんに電話して病状を聞いてみると
痛みは引いてきて良くはなってきたということだった。


そして、入院から2週間目くらいに私は彼女の病室を訪ねた。


…一瞬、言葉を失った。
いつも見慣れた彼女の顔ではなかったから。
彼女の病気は帯状疱疹などではなかった。
ウイルス性の顔面神経麻痺…。 それが彼女の本当の病気だった。


疲れからくる麻痺、心因性の麻痺などはほとんどが治るらしいが
ウイルス性のものは、たとえ良くなったとしても元の顔に戻るのは難しいらしい。
右半分が麻痺した彼女の顔は、まぶたも閉じず、口も曲がり、
口がうまく動かないため声もくぐもり、別人になっていた…。


彼女は病気の説明をしながら 『見られたくなかった…』 と泣いた。


私は、泣かなかった。


結婚前の女性が、こんな病気になるなんてどんなにか辛いだろう…。
そりゃ、世の中にはもっと大変な病気と闘っている人はいる。
彼女の病気は、生きるの死ぬのといった病気ではない。
でも、彼女の心情を思うと、死ぬより辛いかもしれないと思った。
だから、泣けなかった。
彼女の前で泣いたら、彼女はずっとこのままだと私が認めてしまうようで…。


しばらくして彼女は退院したけれど、顔は麻痺したままだった。
そのせいで、仕事も辞めることになってしまった。


でも、もともと努力家でもある彼女は、
何とか少しでも治したいと、ありとあらゆる治療法を試した。
病院での神経ブロック治療はもちろん、漢方や、麻痺にいいと聞いた民間療法など。
私も何かしたかったけど、私にできることと言えば
話し相手になったり、治療に付き合ったりするぐらいしかなかった。



でも、しばらく治療に専念していると、
彼女の頑張りの甲斐あって、少しづつだが麻痺がよくなってきたように感じた。
毎日自分の顔を見続けている彼女には
そんなに大きな変化には感じられなかったらしいが、
たまに会う私には、会うたび変わってきたように思えたのだ。


私はほんとうに嬉しくて、このまま頑張っていけばもっと良くなる、
そして、また以前のように二人で食事に行ったり、旅行に行ったりできると思った。


でも…。
彼女本人にしたら、この程度では良くなったうちには入らなかったのだろう。
数ヶ月たっても彼女には希望が見えず、治療も辛かったに違いない。
自分だったらどうだったろう…と思っても
本当の辛さなんてわからないから、結局は他人事なのだ。



そんな彼女が最後に頼ったのは、ある新興宗教だった…。



私は、新興宗教にいいイメージを持っていない。
信仰してる方々には申し訳ないが、あんなものはトップの人たちの金儲けの手段だと思っている。
中には信じるに値するところもあるのかも知れないが…。


彼女は毎週のようにその宗教の勉強会とやらに通うようになった。
それはもう妄信という状態。
毎日そこのお札を持ち歩き、普段からブツブツと私にはわからないお題目を唱えるようになった。


私は、彼女にそんなところはやめるよう説得した。
私にも信仰心がないわけじゃない。
毎日、家の神棚と仏壇には手を合わせてから出かけるし、
祖父母の命日や、お盆お彼岸お正月などは必ずお墓参りに行く。
【苦しいときの神頼み】なんて言葉があるけれど
もしも、自分に何かあったとき何かにすがるとしたら、
そして、もしも助けてくれる見えない力なんてものがあるのだとしたら、
それはお金を要求する神様なんかじゃなく
身近で自分のことを見守ってくれてるであろう存在なんじゃないの?って。


でも、彼女は私の話には耳を傾けてくれなかった。
神通力?を持ってるとかいうそこの偉いさんが、彼女の病気は私のせいだと言ったらしい。
私に憑いている悪いものが、彼女にも取り憑き影響しているのだと…。


それ以来、電話をしても出てくれず、
メールをしても、やけに他人行儀なですます調のつっけんどんな返事だった。
最後と思って手紙も書いたけど、返事はなかった。
それっきり、彼女とは音信不通になってしまったのだ。


そんな彼女に、私は憤慨した。
今までの付き合いって、こんなポッと出の宗教なんかに負けてしまうのかって。
そっちがその気なら、私から連絡をする義理はないって。



でも…。
今考えると、自分の顔が変形しているという現実や、
いつまで続ければいいのかもわからない治療に疲れた彼女が
精神的な拠り所を求めたことを、邪魔をしようとしたのは確かなのかもしれない。

価値観はひとそれぞれ、
彼女がそれで、辛い時期に少しでも安心できるなら、私がどうこういう権利はなかったのだ。


現に、久しぶりに見た彼女の顔は、元通りとまではいっていないけれど
ちょっと見たくらいではわからない程度に回復していた。


彼女にとっては、【私と離れたことによって良くなった】というのが事実なんだろう。
だからもう、私とは係わりたくないんだろう。



きっと、この先何年たったとしても、戻ることはないだろうな…。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2008年07月26日 08:54
2月に帯状疱疹をやった私です^^;
私は左わき腹に出来たし、軽い方だったので
痕は残りませんでした。
どこに出るかわからないからねって先生は
言ってたけどね。
元親友さんはもっとつらい病気だったのですね。
一番きれいで居たいときにつらい病気になる
なんて確かに親友には一番見られたくなかった
かもしれませんね。。。。

宗教ね。。。私も一切興味ないです。
ぅめ。さん同様、身内が入ってるお墓は大事に
しますけど、それだからって宗教にうつつを
抜かすつもりもないですしね。。。。
昔好きだった人がまぁ、日本で一番会員の多い
宗教に入ってて、かなり誘われましたが
断りましたもん;
ぅめ。
2008年07月26日 17:18
kiyoさんへ。
帯状疱疹…。痛みがあってキツイらしいですね。特に女性は痕になったりするとほんと辛いですもの。でもkiyoさんは軽く済んだみたいでよかったです。ほんとに。
彼女の場合、治りが悪いと言われていたし、しかも顔。私はのほほんとしてるのに、『なんで自分だけこんな辛い目に』なんて恨む気持ちが出ちゃうことも仕方ないことなのかも。

私はかなり強硬に『やめろやめろ』って言っちゃったんですよね…。彼女のためを思ったつもりだったけど、大きなお世話だったのかも。
ほんと、身内のお墓と仏壇大事にしてれば、それ以上する必要って感じないですよね。新興宗教って人が弱ってるときにつけ込む、みたいなイメージもあって私は好きになれないです。
2008年07月27日 16:26
こんにちは。
人の気持ちって難しいですね。その立場にならないと分からない事も多いと思います。
でも、ぅめ。さんはぅめ。さんなりに頑張ったと思います。その時にはそれ以上は無理だったと思います。
私も宗教は興味ないですね。もちろん自分のご先祖さまのお墓は大切にしていますが、宗教はちょっと違う気がします。私も昔、友達にしつこく誘われた事があって、辟易しました。凄いんですよね、そういう子ってのめり込んでいると言うか、言葉巧みで。ちょっと怖かったです^^;
そんな宗教でも、心が弱っている時にはすがりたくなるのかもしれませんね。彼女の様子が少しは回復していたとしたら、彼女にとっては救いになったのかもしれない。
それは人それぞれだからね。きっと今の私達には理解できない事なんだと思います。
ぅめ。
2008年07月28日 15:38
アイさんへ。
ほんと、今の私達には理解できないこと、なんですよね。同じような立場に立たされて初めて理解できる気持ちなんだろうな…。
他にも、合同結婚式で話題になった某団体に入信した知り合いがあるんですけど、家や土地まで処分して寄付してたけど、傍から見て決して幸せそうに見えない。人をそこまでさせてしまうって怖いですよね。
彼女のことは、たぶんこの先もしこりみたいに心に残ると思うので、お互いもっとずっと歳をとって、辛いことや幸せなことをもっと経験してから、いつかおだやかに話せるときがきたらいいなと思ってます。

この記事へのトラックバック